急な転勤が決まって、自宅マンションをどうしたらいいのか迷いますよね。
分譲マンションを購入して住んでいて転勤になってしまったときの選択肢は、
- 売却する
- 賃貸に出す
- (家族がいる場合)単身赴任する
- (通える場合)無理して長時間通勤する
- 転職する
- そのまま空き家にしておく
が考えられます。
どの方法もメリットとデメリットがあり、あなたの状況と考え方次第でどれを選ぶか決める必要があります。
国内で地方への転勤なのか、長時間通勤すれば通える範囲なのか、海外転勤なのか。
一定期間で戻ってくることが決まっているのか、行ったらそのままなのか。
まずはそれぞれの選択肢の特徴を知った上で、自分の状況に合わせて考えてみましょう。
損しない選択ができるように、順番に説明していきます。
この記事を読み終わる頃には何をすればいいか見えてくるように情報を整理したので、ちょっと時間を取って読んでみてください。
この記事の目次
転勤時に自宅マンションを売るか貸すかそのままにするか、状況と合わせて決める
6つの方法のメリットとデメリット、どんな人に向いているかを整理しました。
転勤でマンションを売るメリットとデメリット
メリット | 住宅ローン返済や固定資産税、修繕積立金、管理費の支払いがなくなる
早く売った方が高く売れる 貸す場合のいろいろなリスクがない 転勤先で新たな住宅ローンが組みやすい |
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デメリット | 気に入ったマンションを手放す精神的なダメージがある
購入した金額に比べると安い金額でしか売れない 住宅ローンが残る場合、現預金で差額を埋める必要がある 売却活動の手間がかかる |
売却はこんな人におすすめ
- 転勤後に戻ってくる時期が決まっていない人
- 未就学児で転校に抵抗がない子どもがいる人
- 専業主夫・専業主婦で仕事を辞める必要がない人
- 人気エリアのマンションで高値で売れそうな人
貸すメリットとデメリット
メリット | 家賃収入が得られる
住宅ローンの金利分や固定資産税、管理費、修繕積立金などを経費にできる(要確定申告) 転勤からいずれ帰ってきたときににまた住める 気に入ったマンションを手放さなくていい 人が住むから空き家のままにしておくより傷まない 会社の福利厚生制度で貸す支援を利用できる可能性がある |
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デメリット | 貸し出す際にリフォームやハウスクリーニングなど初期費用がかかる(退去の度にかかる)
通常の賃貸借契約なら住んでいる人が強い権利を持つため、大家の一存では退去してもらえない 下手をすると立ち退き料を支払わなければいけない 退去時期を定めた定期借家契約では家賃が相場より割安になってしまう 部屋が傷む、予期せぬキズや故障が起こる可能性がある 家賃収入を毎年確定申告する必要がある 空室のリスクがある 管理の手間がかかる 固定資産税、管理費、修繕積立金、住宅ローン返済は空室でも払い続けなければいけない 賃貸管理会社へ管理費を支払う必要がある 住宅ローンを借りていた銀行から一括返済を求められるリスク(居住用のローンのため。事前相談すればほぼOK) 住宅ローン控除がなくなる(居住していないといけないため) 将来的に売却しようとしたときに築年数が進んで価格が下がっている 売却の際に、収益物件として不動産投資の対象となり、価格が安くなる可能性がある 自殺や事件などで事故物件になる可能性がある 戻る際に鍵交換費用がかかる |
デメリットが多くなってしまいましたが、それだけ賃貸には注意することが多いのです。下で説明するリロケーションを使えば回避できるものもありますが、その分収入は少なくなります。
賃貸はこんな人におすすめ
- 1年から3年程度の期間が決まっている転勤をする人
- 住宅ローン返済が終わっている人
- 金銭的に余裕がある人
賃貸を検討する方はこちらの記事も合わせて読んでみてください。

賃貸で使うのは定期借家契約
貸し出す際は普通の賃貸借契約ではなく、定期借家契約を結ぶようにします。
これは「いつまでの賃貸ですよ」と決めておくもので、その期日が来たら退去してもらえる契約方法です。
普通の賃貸借契約では、借りて住んでいる人の権利が強く、退去を拒否されたら、大家としては強要できません。家賃6ヶ月分の立ち退き料を求められることもあります。
こういう事態を防ぐために、いずれ戻って自分で住むつもりのマンションを貸し出すときは定期借家契約を利用します。
次に説明するリロケーションでも定期借家契約が使われます。
リロケーション
自宅マンションを賃貸するにはリロケーションという方法もあります。
これはリロケーションを専門にする会社に貸し出して、その会社が借り主を見つけてマンションを貸し出す仕組みです。この又貸しのことをサブリースとも言います。
貸す人のメリットとしては、空室リスクがなく確実に収入が入る点、入居者を探さなくていい点、入居者の管理をしなくていい点があります。
逆にデメリットとして、手数料を引かれてしまい、家賃収入が少なくなってしまう点があります。
大家業は想像以上に大変なことが多いので、もし賃貸に出すならリロケーションの仕組みを利用するのをおすすめします。リロケーションについては下記の記事で詳しく説明しています。

貸すか売るかを金額の面で迷っている人には、賃貸に出した場合の家賃の査定と売却査定を同時に申し込めるマンションナビのサービスが便利です。
単身赴任のメリットとデメリット
メリット | 今のマンションがそのまま残る
単身赴任手当が出る 配偶者が生活環境を変えなくていい(仕事や友人関係など) 子どもを転校や転園させなくていい 売却や賃貸の手間がかからない |
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デメリット | 離れて暮らす精神的な問題が家族それぞれにある
二重家賃状態で出費が増える 単身赴任先での生活コストがかかる 週末や長期休暇の帰宅費用がかかる |
単身赴任はこんな人におすすめ
- 戻ってくる期間が決まっている人
- 夫婦が離れて住んでも平気な性格の人
- すぐに帰れる交通の便のいい転勤先の人
- 住宅ローン残高が多すぎて売却できない人
- 会社からの手当が多く出費があまり増えない人
無理して長時間通勤するメリットとデメリット
そもそも通勤不可能な人が多いと思いますが、選択肢として説明します。
メリット | 今のマンションに住み続けられる
家族が生活環境を変えなくていい 売却や賃貸の手間がかからない |
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デメリット | 長時間通勤のストレス(身近な人の死亡よりも長時間の通勤の方が幸福感が下がるという研究もあります)
家族のすれ違いが増える(特に平日、仕事の日) |
長時間通勤はこんな人におすすめ
- 長時間通勤が苦にならない人
- 通勤の利便性がいい地域への転勤の人(満員電車にならない、座って通勤できるなど)
- 平日に家族で過ごす時間が少なくても平気な人
- どうしても今住んでいるマンションを手放したくない人
転職するメリットとデメリット
転勤をきっかけに転職してしまう方法もあります。極端ではありますが、タイミングが合えばキャリアアップにつながることもあるでしょう。
メリット | 今のマンションに住み続けられる
うまく行けばキャリアアップで収入も増える 売却や賃貸の手間がかからない |
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デメリット | 転職活動がうまくいかなかったら結局他の選択肢を採らないといけない
給料が下がってしまうかもしれない 新たな職場で仕事を覚えなければいけない |
転職はこんな人におすすめ
- もともと転職を考えていた人
- 別の会社に行っても通用するスキルを持っている人
- 新しい職場に移ることに抵抗のない人
空き家のままにしておくメリットとデメリット
メリット | いつでも転勤から戻ったらまた住める
他人が住んで傷むリスクがない 家財道具一式を運び出す引っ越し代がかからない |
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デメリット | 住宅ローン返済、管理費、修繕積立金、固定資産税がかかり、転勤先と二重家賃状態になる
空き家で誰も住んでいないために部屋が傷む(身内に定期的に来てもらうことで防げる) 台風や災害時に部屋に何かあってもすぐに対応できない 防犯上も不審者が住み着かないか定期的な見回りが必須 |
空き家にままにしておくのはこんな人におすすめ
- 1年以内の短期間で戻ってくることが確定している人
- いつか戻ってくることが分かっていて、誰にも自分の家に住んでほしくない人
- 二重家賃やダブルローンに耐えられる高い収入か資産がある人
- 近所に見回りをお願いできるような信頼できる親戚がいる人
空き家の見回り
見回りでは、風通しと排水トラップの水が蒸発してしまわないように水を流すことを、身内にお願いするといいでしょう。
特に排水トラップの水(封水と言います)がなくなると、臭気や虫が部屋に入ってきてしまうので、キッチン・トイレ・お風呂・洗濯機の排水を10日に1回か最低でも月に1回は流してもらいたいですね。
手間がかかることなので、友人やご近所さんではなく、親や近い親戚に頼む方がいいでしょう。プライバシーや安全面でも身内が無難です。
また最近建築されたマンションで短期間の空き家ならそれほど傷む心配はないかもしれません。断熱や空調が整っていれば、風通しは必要ない場合もあるでしょう。
しかし、不審者が住み着いていないか、突然の災害でトラブルが起きていないかは、やはり近くの人に見に行ってもらう体制がないと難しいでしょう。
売却する場合に気になる住宅ローン残債の解決方法
いろいろな選択肢を検討した結果、マンションを売却することに決めたら、考えておきたいのが住宅ローン残債のことです。
基本的には売却価格で相殺するので、住宅ローン残高以上の価格で売れたらOKです。
だいたいいくらで売れそうかは、SUUMOなどで同じマンションや似た立地・築年数のマンションがいくらで売り出されているかチェックしてみましょう。広さを考慮すれば、大幅に外れた金額にはならないでしょう。
また不動産会社の査定も利用できます。少し高めの査定額になることが多いので、そのまま信じ込まないように注意してください。複数の会社に出してもらって、相場を探るのが基本です。
残債がかなり多い場合は、返済可能な金額でしか売れないので、下限価格を決めて売り出すことになります。「これ以上はどうしても値下げできないライン」を設定するイメージです。
住宅ローン完済が難しいけれど売りたいとき
頭金ゼロで購入していて、入居後すぐの転勤の場合、どうしても住宅ローン完済が難しいことがあります。
そんなときに選択できるのは、以下のどちらかです。
- 完済できる価格でダメ元で売りに出す
- 住み替えで転勤先に新居を買うなら住み替えローンを利用する
現実的に売れる可能性が高いのは住み替えを使う方法でしょう。
こちらの記事で住み替えでの住宅ローン返済の仕組みを解説しています。

住宅ローン残債があまりに多いときは売ることにこだわらずに、賃貸、単身赴任、転職、空き家で置いておくなど他の選択肢も検討してみましょう。
売る場合は遠方からの売却になることを想定して大手不動産会社を比較して選ぶ
売ると決めたら、次は依頼する不動産会社探しです。
転勤までの短期で売却を終わらせたい気持ちになるかもしれませんが、売り急ぐと数百万円単位で損をすることもあるので、転勤後に遠方からも売却するつもりで考えることをおすすめします。
不動産会社探しでは、まず近所の不動産屋さんに相談に行くのはやめておきましょう。損をする可能性が高まります。
賃貸が中心だったり、管理が中心だったり、街中の不動産屋の専門はいろいろです。マンション売却を得意としていない場合、売却に時間がかかる上に、段取りも悪く、安い金額でしか売れないという三重苦に陥ってしまいます。

転勤で離れたところに行くことを考えると、体制のしっかりしている大手の不動産会社を選ぶことをおすすめします。全国に支店があれば、転勤先でもしっかりサポートを受けられるでしょう。
大手の不動産会社で転勤のマンション売却経験があるベテランさんに担当してもらえるとベストです。比較して、自分たちと相性のいい人を選ぶようにしてください。
大手だけから査定をもらうならすまいValueの一括査定サービスが便利です。
念のため地域密着型のところの話も聞いてみたいという人はHOME4Uの一括査定を使ってみてください。会社が被るところを外せば、2つの併用も可能です。
また不動産会社は1社に絞り込んでください。遠方から複数の会社とやりとりするのは現実的ではありません。具体的には一般媒介でなく、専任媒介・専属専任媒介で不動産会社1社と契約します。
それぞれの媒介契約の違いはこちらの記事で解説しています。

マンション売却の具体的な流れと注意点
マンション売却の流れと転勤での注意点をまとめておきました。
マンション売却の流れについてはこちらのページに通常のケースがまとめてあります。
参考:マンション売却の流れ
転勤時の遠方からの売却の注意点
遠方からの売却で注意したいのが、内覧と契約手続き、決済の3つです。
内覧
内覧は不動産会社に鍵を預けて対応してもらいます。
転勤で引っ越しが終わっているので、空き家状態で気兼ねなく内覧してもらえて、有利なポイントです。
内覧を任せるのが親身になってくれる不動産会社の担当なら安心ですが、適当な仕事しかしてくれないと、内覧から購入までなかなかつながりません。
事前に内覧時に説明してほしいことをまとめておいたり、購入希望者が持ち帰れる資料を用意したりして、売主不在でも魅力が伝わるようにきちんと依頼しておきましょう。
定期的に売り出し状況を報告する義務が不動産会社にはあるので、その際に積極的に詳しく聞いていく姿勢も大事だと思います。
売買契約
売買契約は基本的には対面で行います。
このために一度転勤先から戻って対応するのが一般的です。
しかし、お金と時間がかかってしまうので、どうしても余裕がないときは委任状を使ったり、郵送での持ち回り契約にしてもらったりします。
最初の段階でどういう手段を使えるのか、不動産会社の担当によく相談しておくと安心です。
決済と引き渡し
売却代金全額を受け取る決済の日には、売主が行かないわけにはいきません。
どうしても都合がつかなければ、家族に委任状を持って対応してもらうことも可能ではありますが、問題もあります。
司法書士の方に所有権の移転登記や抵当権抹消登記を依頼するのですが、その際に本人確認が必要なのです。
司法書士の方に出張費用を支払って転勤先まで来てもらうことも原理的には可能ですが、無駄な費用がかかるだけです。
多額の現金の受け渡しを人に任せるのも不安ですよね。
決済と引き渡しの日には戻らなければいけないと覚えておいてください。
遠方のマンションを売る場合についての記事も参考にしてみてください。
遠方のマンションを売却する方法
確定申告すれば売却で損した分を所得控除できる可能性がある
5年以上の所有期間があるマンションを売却したときや、住み替えでマンションを売却した場合に、売却で出た損失を所得税や住民税と通算できる制度があります。
転勤での急な売却では、損をすることも多いと思います。ダメージを少しでも軽減するために、使える特例を知っておきましょう。
ちなみに所有期間が5年を超えるか超えないか微妙な時期なら、売却する時期をずらすだけでかなりお得になる可能性もあります。該当する人は注意しましょう。
損益通算の特例についてはこちらの記事で詳しく説明しています。

なかなかマンションが売れないときは業者買取も検討してみよう
空き家状態で売却活動をしていれば、なかなか売れないことも少ないとは思いますが、どうしても売れないこともあります。
たとえば、売却する時期が悪い可能性もあります。

1年近く売却活動を続けてもどうしても売れない、管理費や修繕積立金などの費用負担もつらいという人は、業者買取を利用することも検討してみましょう。
業者買取は不動産会社が直接買い取ってくれる仕組みです。
すぐに売れて入金される代わりに、相場価格の6割から7割の金額になってしまうのが特徴です。
こちらの記事で詳しく説明しています。

ちなみに期限が決まっている場合は普通の売却活動をしたあとに、一定期間経ったら買取してくれる買取保証サービスもあります。

まとめ
転勤が決まって自宅マンションをどうしようかと困っている人のやることは以下の通りです。
- 売るか貸すかをそれ以外かを決める
- 売るなら大手の不動産会社を比較して1社に依頼先を決める
- 遠方からの売却に備えて資料を作る
- 遠方から売却活動を定期的にチェックする
- 調整して売買契約や決済に出向く
- 売却完了の翌年に確定申告をする
気に入って購入した分譲マンションを売却するのは抵抗もあると思います。しかし、賃貸に出してボロボロにされてしまったり、金額的に損してしまったりするよりは、いさぎよく売却する方がいいのではないでしょうか。
転勤先や期間、家族関係によって最適な答えは変わると思いますが、この記事が悔いのない選択をする手助けになれば嬉しいです。
マンション売却には、マンションナビで一括査定を利用するのがお勧めです。
理由1.街の不動産屋だと何百万円も損する!?
街の不動産屋さんに売却依頼するのは危険です!近所の不動産屋さんはマンション売却が得意じゃありません!
マンションは一生に何度もない高額なもの。ちょっとしたことが大きな損につながります。値下げや宣伝の方法がマズイと、売却価格が何百万円も安くなってしまいます。
理由2.マンションナビ参加の不動産屋は売却に強い!
マンションナビにはマンションを売却したい人が集まります。
サービス申し込み後、査定金額や内容をもらって業者を比べます。
つまり、参加業者からすれば、他の不動産屋と提案で勝負して、売却したい人からの依頼を勝ち取らなくてはいけないのです。
だからこそ、売却が得意な会社だけが集まっています。
「早く売りたい!」「高く売りたい!」と考えるなら、売却が得意な会社に任せるのが一番です。
理由3.一括査定で相場を知っておくのが売却成功のコツ!
マンションの価格が適正かどうかはカンタンには分かりません。売却が終わってから「もっと高く売れたかも……!?」と後悔する人も多いんです。
一括査定を利用すると、最大6社の査定価格が出て、自分のマンションがいくらで売れるか相場が分かります。
あとで後悔しないためにも、マンション売却のスタートは一括査定がオススメです。