相続したマンションを売却する際に、注意してほしいのが税金のことです。売却のタイミングを逃すとムダな税金を払わなければいけなくなります。
この記事では、相続したマンションを売却する場合に注意してほしいポイント4つと、税金の具体的な計算方法をまとめました。売却時の参考にしてください。
相続したマンションの売却については以下の記事も参考にしてみてください。

この記事の目次
ポイント1.相続不動産でも売却益が出れば、所得税と住民税がかかる
相続したマンションを売却して利益が出れば、所得税と住民税がかかります。
(売却して出た利益のことを譲渡益や譲渡所得と呼びます。)
相続税をいくら納めていても関係ありません。
譲渡所得の具体的な計算方法は記事の後半で説明しますが、以下の計算式に当てはめて算出します。
譲渡所得 = 売却代金 - 取得費 - 譲渡費 - (特別控除)
もちろん計算して譲渡所得がマイナスになれば、譲渡所得税と住民税はかかりません。
譲渡所得がプラスなら、売却した翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告を行い、その期限内に税金を納付する必要があります。
マンションの売却でかかる税金は分離課税
所得は税金のかかりかたに応じて、総合課税と分離課税に分かれます。
簡単に言うと、総合課税は他の所得と通算して、分離課税は他の所得とは独立して税額が決まります。
マンションの売却など不動産売却にかかる税金は、分離課税となっていて、他の所得との合算は認められません。
一般的に給与所得にかかる税率より、不動産売却にかかる税率の方が低いので、売却益が出ていれば分離課税で損するということはあまりありません。しかし、損失が出た場合に、通算できないのはつらいところです。
ポイント2.相続税を経費にできるのは死亡から3年10ヶ月以内の売却のみ
譲渡所得の計算をする際、取得費の中に相続税を含められる特例「相続税の取得費加算の特例」があります。
この特例を使うと、相続税として支払った金額の一部を取得費として差し引いて税金を減らせます。
相続税を納めたなら、ぜひ利用したい制度ですが、期限があるので要注意です。
相続税の取得費加算の特例は、相続税の申告期限(死亡から10ヶ月)の翌日から3年以内に相続不動産を売却した場合にのみ適用されます。
単純に考えて、亡くなってから3年10ヶ月以内に売却をすれば大丈夫と覚えておくといいでしょう。
相続税の取得費加算の特例について、詳しくは国税庁のホームページをご覧ください。
参考
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例国税庁
ポイント3.譲渡所得は故人の購入した金額・時期をもとに計算する
相続したマンションの譲渡所得の計算では、故人が購入した時の費用を受け継ぎます。相続で取得したから取得費ゼロというわけではありません。
また所有期間についても、相続時ではなく故人の購入時からとなります。
所有期間が5年を超えると長期譲渡所得になり、税率が安くなります。逆に5年以下の場合は短期譲渡所得で、高い税率となるので要注意です。
長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率の違い
- 長期譲渡所得 所得税15% 住民税5%
- 短期譲渡所得 所得税30% 住民税9%
※平成25年から平成49年までは、復興特別所得税として、計算した所得税額の2.1%を所得税と合わせて申告・納付しなければなりません。長期譲渡所得なら15.315%、短期譲渡所得なら30.63%の所得税がかかると合算して考えても良いでしょう。
マンションの購入代金から減価償却相当費を差し引く
譲渡所得の計算では、故人が購入した金額から減価償却した分を差し引いて、取得費に算入します。
減価償却とは、使っていくうちに徐々に建物や設備が傷んでいくのに合わせて資産価値を減らしていくことです。
たとえば5,000万円で購入したマンションでも、10年間住めばその分は傷みなどが出てきて価値が減り、5,000万円の価値はなくなります。取得費は、5000万円ではなく、5,000万円から10年分の減価償却相当費を差し引いた金額を使います。
ちなみに土地はいくら時間が経っても劣化しないため、減価償却はしません。
マンションの購入代金は建物+土地の代金となっているので、土地の部分は減価償却せずに取得費にできます。
契約書の購入価格が合算されていて、土地と建物の按分が分からない場合は、消費税額から逆算できます。土地には消費税がかからず、建物にはかかっているので、消費税額÷3%(もしくは5%、8%)が建物価格です。
減価償却費の計算はかなり複雑なため、税理士など専門家を頼った方がいいでしょう。確定申告時期の無料相談を利用する手もあります。
ポイント4.相続前から同居していたなら2つの特例が使える可能性がある
相続したマンションに同居していた場合、以下の2つのマイホームに関する特例が利用できるかもしれません。
どちらも税額を大幅に減らせる制度なので、適用できるかしっかり確認しておきましょう。
3,000万円の特別控除の特例
マイホームの売却では、要件を満たせば「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が受けられます。
譲渡所得から3,000万円を差し引けるので、税金をかなり減らすことができるでしょう。この特例を受けるにはたとえ譲渡益が出なくても確定申告が必要です。
特例の適用要件では、相続発生前から居住していて、相続後に所有者として居住した点が重視されます。
この特例を受けるためだけに一時的に入居したケースなどでは適用されないこととなっています。
もし相続後に引っ越していれば、住まなくなった日から3年目の12月31日までに売却することで特例を受けられます。
詳しい要件は国税庁のホームページを参考にしてください。
参考
マイホームを売ったときの特例国税庁
マイホームを売ったときの軽減税率の特例
所有期間が10年を超えているマイホームの売却で利用できます。
上の3,000万円の特別控除と併用できるので、合わせればかなり税額を減らせます。
具体的には、10年超所有軽減税率の特例を適用すると、税率が以下のように低くなります。短期譲渡所得の所得税30%住民税9%、長期譲渡所得の所得税15%住民税5%と比較するとかなり安くなっているのが分かると思います。
- 譲渡所得が6,000万円以下の場合 所得税10% 住民税4%
- 譲渡所得が6,000万円超の場合
6,000万円以下の部分 所得税10% 住民税4%
6,000万円超の部分 所得税15% 住民税5%
※平成25年から平成49年までは、復興特別所得税として、計算した所得税額の2.1%を所得税と合わせて申告・納付しなければなりません。6,000万円以下の場合は所得税10.21%、6,000万円超の部分は所得税15.315%と合算して考えても良いでしょう。
参考 マイホームを売ったときの軽減税率の特例国税庁譲渡所得の具体的な計算方法
ここからは具体的な計算方法について見ていきます。
計算式は以下の通りです。
譲渡所得 = 売却代金 - 取得費 - 譲渡費 - (特別控除)
売却代金と特別控除はそのままなので、取得費と譲渡費について内訳を見ていきましょう。
取得費の内訳
取得費とは、マンション購入から現在までにかかった金額の総額です。
以下のようなものが算入できるので、昔の契約書類などを探してみましょう。
- マンションの購入代金(※所有期間に応じて減価償却する)
- 購入時に不動産会社に支払った仲介手数料
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 印紙税
- リフォーム費用
- 相続税支払いの一部(※相続税の取得費加算の特例)
取得費が不明な場合は概算取得費を利用する
所有期間が長期に渡っていたり、購入時の資料を紛失していたりして、取得費が不明な場合は、売却金額の5%を概算取得費として利用できます。
普通に取得費を計算するより少額となってしまうことが多いので、できれば書類を探して取得費を計算した方がいいでしょう。
古い住宅などでは、明治や大正に取得した金額が安すぎる場合もあるため、概算取得費を利用することがあります。取得費として計算したものが売却金額の5%未満なら、概算取得費が使えるのです。
譲渡費の内訳
譲渡費とは、今回の売却で支払った手数料や税金のことです。以下のようなものがあります。
- 不動産会社に支払った仲介手数料
- 印紙税
- 登記費用
- 不動産鑑定料
- 手付金放棄などをして支払った違約金
引っ越し代などは含まれません。
まとめ
細かく見てきましたが、重要なことは使える制度を知っておくことです。
特に3,000万円の特別控除の特例と相続税の取得費加算の特例が使えるかは十分チェックしてください。
相続したマンションの売却については以下の記事も参考にしてみてください。

心配なら早めに税理士などの専門家に依頼しましょう。素人判断では何十万、何百万と損することにもなりかねません。

取得費については、こちらの記事でも解説しています。
マンション売却後の確定申告の取得費の計算方法
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