離婚時はマンション売却して住宅ローン返済と名義のリスクをなくそう

マンション売却価格と住宅ローン残高の関係
離婚するにあたって気になるのが購入した分譲マンションをどうするかでしょう。

売却するかそのままどちらかが住み続けるかが大きな分け方です。

基本的には離婚のタイミングで売却をして将来の問題も整理しておくのをおすすめしています。

売る場合、残す場合、両面から見ていきましょう。

離婚したらマンションを売却した方がいい2つの理由

離婚後も同じマンションに住み続けたい

子どもを転校させたくない

こういう気持ちも分かります。生活環境をなるべく変えずに過ごしていきたいですよね。引越しの手間やお金もかけずに済みます。

この記事の後半では離婚後も住み続けるパターンも検討しています。

しかし、基本的には離婚後はマンションを売却してしまう方がいいと考えています。

その理由は2つあります。

数年先、数十年先の問題もあるので、把握しておきましょう。

理由1.住宅ローン返済を滞納するリスクがある

まず前提として、離婚しても住宅ローンの連帯保証人、連帯債務者から外してもらうことは原則できない点を知っておきましょう。

もし元夫の返済が滞ったら、元妻に請求が来ます。離婚していても返済の義務はなくなりません

財産分与で元妻と子が住んでいるマンションならまだしも、元夫が住んでいても元妻に請求が来る可能性が残ります。

もちろん元夫単独で住宅ローンを組んでいれば心配ありませんが、元妻が連帯保証人・連帯債務者になっていれば、完済まで不安が続きます。

元妻が連帯保証人・連帯債務者になっていれば、完済まで不安が続きます。

また、別の問題もあります。

財産分与の結果、元妻と子がマンションに住み、元夫が住宅ローンを支払い続けるというケース。よくある話です。養育費と相殺して住宅ローン支払いを続けてもらうこともあるでしょう。

しかし、もし元夫の滞納が続けば連帯保証人である元妻へ請求が来て、支払えなければマンションが競売にかけられる恐れもあります。元妻と子はマンションから追い出されてしまうのです。

元夫の立場で考えると、離婚後は住宅ローン返済、養育費、慰謝料、自分の生活費で経済的負担が非常に厳しく、やむをえず滞納してしまう可能性は十分あります。離婚協議書や公正証書で定めていても、支払いが滞ってしまう可能性はゼロにできません。

厚生労働省のひとり親世帯の調査では、そもそも養育費を支払っていない元夫が多いだけでなく、途中で支払いをやめてしまった人が多いことが伺えます。

参考:平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告、 17 養育費の状況

住宅ローンが残っている状態では、離婚しても他人になりきれないのです。

ペアローンで夫と妻がそれぞれ住宅ローンを組んでいる場合は、これらの問題がより大きくなるでしょう。住んでいない方がずっと住宅ローンを返し続けるのは想像以上に大変です。

これらのリスクをなくすために離婚時にスッパリと売却しておくのがおすすめなのです。

理由2.共有名義の場合、将来の売却や相続の問題がある

登記上の名義が共有名義のままだと将来問題が起こる可能性が高いです。

共有名義の不動産の取引では、名義人全員の同意・署名が必要となります。将来売却しようと思ったときには、別れた相手に連絡を取って手続きをしなければいけないのです。

別れた相手といつまでも連絡が取れるとは限りません。いざというときに音信不通となっていて、何十年後に後悔することになるかもしれません。

また、相手が亡くなれば、相続の問題も発生してきます。

離婚時に住宅ローンを完済していれば問題ありませんが、返済中なら金融機関の許可がないと名義変更はできません。将来のリスクをなくすためにも、離婚のタイミングで売却してしまう方が賢明です。

今はよくても再婚相手がクレームをつけてきて持分の所有権を主張される可能性もあります。

離婚時はマンション売却後に財産分与で売却代金を分け合う

では売却したお金はどうやって分けるのか

どちらにも落ち度のない離婚なら、財産分与は半分ずつになります。つまりマンションを売却して得られた代金を半分ずつ分け合います。

妻が専業主婦で夫単独の住宅ローンを組んだマンションであっても、夫婦で共同して築いた資産として半分もらう権利が妻にはあります

また共働きでペアローンを組んでいた場合、ローン金額に応じた持分割合があるはずです。こうしたケースで「持分割合で財産分与して損するんじゃ……」と心配な人もいるかもしれませんが、持分割合には関係なく半分ずつ分け合うのが基本です。2分の1ルールとも呼ばれます。

ちなみに、購入時に頭金を結婚前からの貯蓄や自分の親からの贈与で支払っている場合は、それを特有財産として別で計算することがあります。

この計算方法は法律で決まっているわけではないので、双方の言い分の落としどころを見つけるしかありません。

また財産分与については、もともと持っていた資産を分けただけなので、贈与税はかかりません。

参考:離婚して財産をもらったとき 国税庁

住宅ローン残債より高く売れるかどうかで売却方法が変わる

マンションが住宅ローン残債務より高く売れるかどうか、つまり売却代金で住宅ローンを完済できるかどうか、が大きな分かれ目となります。

住宅ローン残債より高く売れそうなら一般不動産売却(アンダーローン)

住宅ローンを完済できる価格で売れるマンションなら、普通の不動産売却が可能です。残債より高く売れることをアンダーローンとも呼びます。

売却代金の住宅ローン完済後に余った分は、夫婦で半分ずつ分け合うことになります。

急いでいれば買取を利用する選択肢もありますが、相場の6割から7割程度になってしまう点は注意してください。

業者買取でマンションを売却するメリット・デメリット

一般不動産売却の流れ

不動産会社に売却の仲介を依頼して、購入希望者を探します。

内覧や交渉を経て、売買契約を締結し、決済と受け渡しとなります。

依頼した不動産会社が案内してくれる通りに進めていけば問題ありません。

依頼の際には、包み隠さずに「離婚」が売却の理由と伝えましょう。離婚した夫婦が住んでいたなんて嫌というような人はそもそも中古マンションを探しません。またあとでバレるよりオープンにしておいた方がトラブルも防げます。

急ぎで売却を完了させたいなら、相場より少し安く売り出す工夫も必要でしょう。

相談先はマンション売却が得意な不動産会社

マンション売却に強い不動産会社とそうではない不動産会社があります。

HOME4Uのような不動産売却の一括査定サービスに登録している不動産会社は、売却に強いと言っていいでしょう。売却希望の人を積極的に探しているくらい売却仲介に力を入れているわけです。

HOME4Uには厳選した全国の不動産会社が参加していて、近所にあるマンション売却に強い不動産屋を見つけられます。

住宅ローン残債より安くしか売れなさそうなら任意売却(オーバーローン)

売却価格では住宅ローンが完済できない場合、一般の不動産売却はできません。金融機関が設定している抵当権を外してくれないためです。

新築分譲マンションを購入して頭金をあまり入れていない場合、すぐに離婚して売ることになればオーバーローン状態になっている可能性が高いでしょう。

そんな物件でも任意売却なら売却可能です。

多額の住宅ローンが残っていて困っている人はぜひ検討してみましょう。滞納を続けてマンションが競売にかけられる前に動いてください。

ただ任意売却をするとブラックリストに入ってしまい、今後新たにお金が借りられなかったり、クレジットカードが作れなかったりして不都合も多いので、最終手段として考えましょう。

任意売却の仕組み

任意売却とは、金融機関と相談の上、住宅ローンが完済できない価格でも不動産売却できる仕組みです。

競売なら相場よりかなり安くなってしまいますが、任意売却は一般の消費者が買い手となるので、相場に近い価格で売れます。金融機関としても回収できる金額が増えるので、競売に至るよりは任意売却の方がいいのです。

任意売却して残った分の債務は、返せる範囲で毎月返済していきます。返済額は月々1万円程度となることも多く、住宅ローン返済と比べると負担がかなり減ります。

相談先は任意売却が得意な不動産会社

任意売却は仕組みが特殊で、金融機関との交渉も大事なポイントとなるため、任意売却専門の不動産会社に依頼するようにしましょう。

金融機関との交渉次第では、引っ越し代の捻出返済総額の減額も可能です。

まずは売れそうな価格を調べるために一括査定を利用する

今のマンションの価値がいくらくらいなのか全く分からないという人におすすめなのがHOME4Uなどの無料一括査定サービスです。

上では一般不動産売却の入り口のように紹介しましたが、査定価格を知りたいという目的でも使えます。

より正確に知りたいなら訪問査定ですが、築年数や立地・広さ・過去の売買情報から算出する机上査定でもおおよその価格は分かります。

任意売却を選ぶ前に一括査定サービスを利用して売れそうな価格を調べるのがおすすめです。また任意売却を手がける不動産会社を探すときにも使えます。

(参考情報)離婚しても売却しない方法一覧

気に入ったマンションを売りたくない、生活基盤を変えたくないという人も多いでしょう。基本は売却することをおすすめしていますが、参考までに売却しない方法も見ておきましょう。

離婚後の居住権で何年も経ってから揉めるケースもあるので、きちんと書類(離婚協議書、公正証書、賃貸契約書など)を作って残しておくことを意識してください。

しかし、公正証書で「住宅ローン滞納などで元妻が負担しなければならなくなった場合、元夫はその費用を補填する」などと定めていても、元夫に資産や収入がなければ無意味です。

公正証書があるから絶対安心というわけではないことも覚えておいてください。

ちなみに住宅ローンを借りている本人が居住していない状態は銀行との契約違反にあたるので、一括返済を迫られてもおかしくない点は知っておきましょう。

元夫が住宅ローンを払いながら、元夫が住み続ける

このケースでは、元妻が連帯保証人や連帯債務者となっていないかが問題です。

もしなっていれば、元夫の返済が滞ったときに、元妻に債務の請求が来ます。

元妻からすれば、住んでもいないマンションの返済を迫られる可能性が完済まで続くことになります。

また、住宅ローン返済と養育費や慰謝料が重なるので、元夫も経済的負担が大きいでしょう。

元妻としては、マンションの価値のいくらかを財産分与として現金で受け取る権利も主張できるでしょう。

元夫が住宅ローンを払いながら、元妻がマンションをもらって子と一緒に住み続ける

子どもを転校させたくない」「思い入れのある部屋を離れたくない」などの理由からこの形を取る夫婦も多いようです。

慰謝料代わりにマンションを渡すというイメージです。

しかし、これは将来にトラブルが起こる可能性の高い方法です。

元夫の住宅ローン滞納があれば、マンションが競売にかけられて、元妻と子は追い出されてしまうかもしれません。何十年も自分が住んでいないマンションのローンを払い続けるのは難しいでしょう。

また、名義変更の問題もあります。

住宅ローン完済前のマンションの登記上の名義を元妻に変更するのは困難です。金融機関が許可してくれません。

よって、名義変更は住宅ローン完済後にしかできません。何十年後のその時点で元夫と連絡が取れるかどうか、素直に変更に応じてもらえるかどうか、不透明です。

登記上の持ち主が元夫のままでは厳密にはもらったとは言えません。

こうした事態に備えて、仮登記という方法があります。正確には条件付所有権移転仮登記と言います。

条件とは、住宅ローン完済を指します。簡単に言うと「住宅ローンを完済したら、元妻に所有権を移す」と決めるわけです。

これは登記簿上にも明記されて、仮に勝手に売却したり相続が発生したりしても、元妻に優先権があり、きちんと所有権が得られます。

元夫の返済義務を明確にするためにも、取り決めをきちんと書面で残しておくことも重要です。

決して口約束で進めないようにしましょう。

元夫が住宅ローンを払いながら、元妻がマンションを借りて元妻と子が住み続ける

生活基盤を変えたくない場合などで「そのまま住んでいて構わない」と所有権は元夫のまま、元妻と子が住み続けるパターンがあります。

こうした場合、元夫と元妻の間で借りるための契約をきちんと交わしておくと安心です。

再婚や経済状況の変化でどんな事態が起こるか誰も予測できません。

あとでトラブルにならないようにきちんと書面で取り決めておきましょう。

元妻が名義変更して住宅ローンを払いながら、マンションをもらって子と住み続ける

元妻に十分な収入があれば、この選択もありえます。

元夫が住むケースと同じく、元夫が連帯保証人や連帯債務者になっていないかがトラブル防止のポイントです。

また、元妻単独で残債分の住宅ローンが組めるなら、借り換えによって住宅ローン名義と登記名義を元妻のものとすることもできます。

元夫としては、マンションの価値のいくらかを財産分与として現金で受け取る権利もありますが、慰謝料や養育費もあるため、ケースバイケースでしょう。

まとめ

離婚後もマンションを売却せずにいることはトラブルの原因になりがちです。

できれば離婚の際にはきっぱりとマンションを売却してしまいましょう。時間が経ってからでは連絡も取りにくくなるので、できれば離婚前に売却手続きに入っておく方がスムーズです。

その際は売却可能な価格によって、一般不動産売却か任意売却を選ぶことになります。まずは普通に売る場合を想定して動き出すのがいいでしょう。任意売却は最後の手段と考えてください。

今のマンションの価値を知るためには一括査定サービスを利用して調べましょう。

住宅ローン滞納前でも任意売却の相談はできます。早めに動きましょう。

新しい人生の門出に向けて、最後のひと踏んばりです。