もしマイナスになったら……2つの譲渡損失の繰越控除の特例

photo credit: Tax via photopin (license)

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マンション売却で損した場合、少しだけ救済措置があります。

それがこの記事で紹介する「譲渡損失の繰越控除の特例」です。

買い替えのためとそうでない場合で適用される特例は違いますが、どちらも所得税などの税金が安くなる可能性があります。

今回は、譲渡損失が出た場合の損益通算と繰越控除について、2つの制度を見てみましょう。

「マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」とは?

「マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」は、居住していたマンションを買い替えのために売却して、譲渡損失が出たら使える制度です。

売却後に新たなマンションや一戸建てを購入する人はこちらの特例です。

簡単に言うと、売却で損した分をほかの所得から差し引けるもので(これを控除と言います)、所得が低くなる分、所得税や住民税が安くなります。金額によってはゼロになることもあります。

1年で控除しきれなかった分はその翌年から通算3年間持ち越しできます。

ここでいう譲渡損失とは、住んでいたマンションの購入代金(正確には取得費)から売却代金などを引いて出た損失と考えてください。

取得費について詳しくはこちらの記事で説明しています。

マンション売却後の確定申告の取得費の計算方法
マンション売却後の確定申告で経費となる「取得費」の計算についてまとめました。減価償却を忘れないようにしましょう。

後述する「特定居住財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と一緒に適用することはできませんのでご注意ください。

要件は?

もちろん損失が出たら必ず適用されるわけではありません。

以下の要件を満たしている必要があります。

  1. 自分の住んでいるマンションを売却すること
  2. 平成10年1月1日から平成27年12月31日までの間で、売却した年の1月1日時点で、所有期間が5年を超えており、マンションが日本国内にあること。
  3. マンションを売却した前の年の1月1日からマンションを売却した翌年の12月31日までに買い替え用の住居を購入しており、その住居の床面積が50平方メートル以上であること。
  4. 買い替えた住居に、買い替えた翌年の12月31日までに実際に住み始めるか、又は住む予定があること。
  5. 買い替えた住居を購入した年の12月31日時点で10年を超える住宅ローンを組んでいること。
  6. 譲渡損失が出たこと。

以上です。

ただし他の特例などを受けていると、前述した要件を満たしていても適用除外となってしまう場合があります。

適用除外になってしまう場合は以下の国税庁のページで確認してください。

実際どれくらい税金が安くなる?

給与所得より譲渡損失が多い場合、その年の税金はゼロとなり、譲渡損失の額によっては翌年以降も繰り越しができるようになっています。

例えば、給与所得が1000万円、買い替えによる損失が4000万円とすると、-3000万円となりますから、その年の所得税はゼロとなります(住民税は1年遅れになりますから翌年ゼロになります)。

翌年の給与所得も1000万円なら繰り越し分3000万円を引いて-2000万円ですから、この年も所得税はゼロです。

それ以降も損失分の償却が終わるまで3年を上限として所得税、住民税がゼロになる可能性があります。

最初の年を合わせると最高4年間所得税と住民税をゼロにすることも可能ですから活用しない手はありませんね。

損失が何千万も出るのは辛いことですが。

「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」とは?

「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」の制度は買い替えをしなくても適用される点で、前述した「マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と違ってきます。

また、単純に損失が出た額ではなく、住宅ローン残高とも関わってきます。

要件は?

  1. 自分が居住していた住居を譲渡した。
  2. 平成16年1月1日から平成27年12月31日の間で、譲渡の年の1月1日現在、所有期間が5年を超えており、日本国内の物件であること。
  3. マンションの売却契約した前日の時点で、10年を超える住宅ローンの残債があること。
  4. 譲渡で損失が出たこと。

以上です。

ただしこちらも適用除外になる場合があります。詳しくは以下のページをご覧ください。

損益通算と繰越控除に適用される金額は?

こちらの特例は、

  1. 「マンションの取得費から売却価格などを引いてマイナスになった金額」
  2. 住宅ローン残高から売却価格を引いて残ったローン残高

のうち、金額の低い方が損益通算と繰越控除の対象になります。

つまり、住宅ローン残高以上の価格で売却ができれば対象外なので注意が必要です。

具体的に見てみましょう。

マンション購入金額を3000万円、売却価格を1000万円、ローンの残高を2000万円とします。

①は3000万円-1000万円=2000万円となり、②は2000万円-1000万円=1000万円となります。

この結果②の方が①より金額が低いですから、②が損益通算と繰越控除の対象額となるのです。

給与所得が500万円ならば、②の1000万円を引くと-500万円になりますから、その年の所得税と翌年の住民税はゼロとなります。残りの500万円は翌年に繰り越せます。

まとめ

どちらの制度もかなり税金を安くできるので、要件を満たしているならぜひ活用してみましょう。

いずれも平成27年12月31日までに売却が完了している必要がある時限的な特例です。年をまたぎそうなタイミングでの売却には注意しましょう。

確定申告するのが前提で減価償却などの計算がかなり複雑なため、税理士などの専門家の力を借りる方が無難です。

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